2012年11月25日(日曜日)

たむらぱん 全国ツアー@新潟LOTS 2012

チケットとたむらぺん  かねてより楽しみにしていた新潟LOTSでのたむらぱんのライヴ、行ってまいりました。今回は先行予約でチケットを取ったら、発券してビックリまさかの整理番号1番!これは最前列でたむらぺんを振り回す等の派手なパフォーマンスをしなければならないのかと若干変なプレッシャーを感じつつ、当日を楽しみに待っておりました。開場時は整理番号を呼ばれて、当然ながら1番で会場入り。中に入った途端、本来オールスタンディングの箱である新潟LOTSにイスが並べてあるのにびっくりしましたが、整理番号1番のメリットを最大限に活かして無事最前列センターモニター横の席を確保いたしました。でもイスがあるのもいいですね。今回は一人で行ったのですが、一人でも一度席を確保してしまえばそこに張り付いている必要がない。おかげでグッズも買いに行けました。SEはBeatles。『A Day in the Life』などを聴きながらテンションを上げてスタートを待ちます。

 とりあえず当日のセットリストは大体以下の通り。ちょっとテンション上げすぎて、途中記憶はやや曖昧です(苦笑)。『でんわ』と『知らない』が反対だったかもしれないなー…、とか。訂正ありましたらご指摘ください。

1. ヘニョリータ
2. スポンジ
3. ジェットコースター
4. ふれる
5. はだし
6. ラフ
7. ゼロ
8. 十人十色
9. ぼくの
10. でもない
11. new world
12. ハイガール
13. でんわ
14. 知らない
15. おしごと
16. 直球

〜アンコール〜

17. バンブー
18. 責めないデイ
19. S.O.S

 例によって当日の驚きを楽しみに、セットリストは事前に確認はしていなかったのですが、当日聴いていてもちょっと意外性があったのが今回のセットリスト。バンドメンバーとたむらぱんが入場してきて、一曲目は何だと待ち構えていると、なかなかまさかの『ヘニョリータ』。『new world』か、もしかしたら『ハイガール』辺りかなと思っていたのですが。この如何にもたむらぱんらしい、キュートでポップにくるくると跳ね回る『ヘニョリータ』から、快調にライヴは幕を開けます。そしてそこから2曲目はさらにまさかの『スポンジ』。このタイミングで『ナクナイ』からの選曲があるとは思ってませんでした。しかも『スポンジ』。前回の新潟公演では「新潟の皆さん、こんばんはー!」みたいな挨拶をしていたら入りを間違えて焦っていたたむらぱん。今回は大丈夫、バッチリ入れてました(笑)。ま、リベンジってわけでもないんでしょうけど。そして次は『ジェットコースター』と、以前のアルバムからの選曲を出だしから立て続けに行う、しかも後半に出てくるイメージのある『ジェットコースター』を序盤に持ってくる辺り、一体これからどんな選曲になるのかと、非常にドキドキするセトリでした。

 『ジェットコースター』の後、MCをはさんでようやくニューアルバム『wordwide』より『ふれる』。実はこの曲、好きなんです。あのアルバムの中でも比較的インパクトは小さい曲ですが、あのサビの透明感のある旋律と"♪哀しみは通り雨〜"という歌詞がとてもマッチしていて、何というか清々しい哀愁を感じてしまうのです。ちょっとJUDY AND MARYの『クラシック』も彷彿とさせるような。このライヴでもよかったですね〜。"♪夕日が世界に寄り添いながら美しく照れる〜"でバックライトがたむらぱんを照らしたシーンで思わずグッときてしまいました。

 その後も『はだし』に続いてMCをはさみながら『ラフ』『ゼロ』『十人十色』と、新曲よりも定番曲が並びます。前回の新潟ではアンコールラストの曲だった『十人十色』、今回もサイケデリックに音が飽和するトリップ感満載の演奏。最後ピアノの鬼気迫る乱打は、サウンドはもちろん見た目にも凄まじい迫力がありました。『十人十色』、ライヴで聴くとCDよりもずっと映える曲です。こういう曲を聴くとバンドの実力がわかりますね。物凄くレベルが高い。バックバンドとして、背景として扱ってしまうのは失礼な実力派揃いです。特にドラムの能村亮平さんとピアノの横山裕章さん。実際かなり時間を取ってメンバー紹介することからしてみても、たむらぱんもバックというよりは全体で一つのバンド、グループのように感じてるのではないでしょうか。実力もグルーヴ・一体感もバッチリのたむらぱんバンドです。

 『十人十色』で新潟LOTSを飽和させた後は、「ここからはちょっとゆっくり聴いてもらいたい」とイスに座ることをうながすたむらぱん。ここで歌われたのが『ぼくの』です。彼女いわく、歌詞に出てくる人間の関係性、距離感が凄く近しいものが多かった『wordwide』というアルバム。自分はその傾向は『mitaina』の時から感じておりましたが、その人と人の距離の近さ、あるいは距離そのものを痛切に歌い上げた象徴的な曲、それが『ぼくの』だったと思います。CDで聴いても言葉と歌が胸に文字通り突き刺さるようなとても力のある曲でしたが、ライヴで座ってじっくりと聴くこの曲は、また歌が、言葉が、突き抜けるように響いてとても心が揺らされました。この曲は、凄い。心に突き刺さる微かな痛みとともに、聴いていて歌の世界に引き込まれる。生で聴くことでこの曲の、彼女の歌の、凄さが改めて実感されました。

 引き続き座ったままの状態で次に演奏されたのが、CDではShing02とコラボしていた『でもない』。CDではラップが入って、全体的にマイナー調の冷たい響きとエコー多めのアメリカンなサウンドメイクがされていたこの曲ですが、今回はライヴバージョンということでラップなし、アレンジも全部変えて演奏されました。またこれが、よかったのです。ピアノとエレアコの弾き語りから入り、CDとは違ってメジャーコード主体の暖かい響きで歌われる『でもない』。全体として冷たい印象のCDでのアレンジとは全く異なり、ほんのり明るく暖かく、しみじみと歌われるこの曲は実に素晴らしかったです。そして聴いているといつの間にかメジャーコード主体の進行が並行短調に移動している、いつものたむらぱん節。アルバムでの音作りは全面的にShing02に委任されていたとのことですので、こちらの方が元々たむらぱんの頭の中で鳴っていた音なのかなとも思ったり。暖かな夕暮れを思わせるようなしみじみとしたアレンジに変えられた、実に素晴らしい音楽。このバージョンの『でもない』も何かの機会にCDに入れてほしいところです。

 そして次からは再び立ち上がって、エンディングに向けて一直線。『new world』、『ハイガール』といったイケイケの曲達が盛り上げてくれます。『知らない』はCDを聴いた際、「サビのバックのギターは全部タッピングで弾いてるのかな?」と思っていたのですが、ライヴで見てみたら間違いない。全部タッピングで弾いておられました。合ってた合ってた(笑)。ラストはアルバム『wordwide』でも強烈な変態曲2曲で飾られます。『お仕事』では気持ちテンポ早め、メンバー全員参加のコーラスと音の洪水で、最後の方は新潟LOTSの箱が音で飽和状態。グワングワン鳴るたくさんの音で、たむらぱんの歌も聞こえにくいくらいの大迫力サウンドでした。新潟LOTSはそれほど大きい箱ではないですが、それでも普通にバンドが演奏してるくらいじゃあそこまで音が飽和したりしないんですけど。やっぱ音数が尋常じゃなく多かったんでしょう。いやー、でもあの曲の最後のサビ前、ツーバスで盛り上がるところでヘッドバンキングしてたのは私くらいでしょうか。思わずロック魂が…(苦笑)。『お仕事』はあそこまで大仰で複雑な曲なのに、凄くライヴ映えするのにビックリしました。ラストは『直球』で元気に飛び跳ねて、ライヴ本編は終了!いやー、でも『直球』のAメロ、ノリにくい、踊りにくい!先の記事でも書きましたが、7拍子ですからね、あれ。普通にやってても踊れない。結構皆さん「あれあれ?」って感じで翻弄されてました(笑)。イチニ、イチニ、イチニサン、って数えながらノルのがコツです。

 アンコールではこれもまさかの『責めないデイ』をやってくれたのが嬉しかった。『ラフ』を聴いてたむらぱんを認知した自分が、『ブタベスト』を借りてきてこの曲を聴いてトドメをさされたのです。いつか生で聴きたいとは思っていましたが、まさか今回聴けるとは思っていませんでした。たむらぱんのアンコールには、何かしらのメッセージがある気がします。今回なら大雑把に言えば「明日からまた仕事だけれども、自分を信じて頑張れ、時にはS.O.S.を出してもいいから」と。そう言ってくれているのではないかなと、…思うのは自分だけでしょうか? そのアンコールラストは『S.O.S』の大合唱で締め、今回の公演は幕引きとなります。実に熱く、心地よくテンションが上がった空間でした。

 その他、今回新潟LOTSのステージではたむらぱんが立つステージ中央に5m四方くらい(?)、高さ10cmほどの高台が作られていました。たむらぱんちっちゃいからよく見えるようにとのことなのでしょうが、「人間不思議なもので、囲われるとそこから出たくなくなるというか…」とMCでも本人が言っていたように、本当にあまりその枠の外に出てきませんでした(笑)。小さい枠の中で踊ったり跳ねたり。前回よりも全体的にアクションが大きくなったし、幅が出てきた気もします。彼女が歌ってる表情、仕草は本当に楽しそうでいいですよね。それだけでこちらも楽しくなってきます。

 もう一つ印象に残ったMCはShing02の言葉について。指二本で出すピースサイン。皆ピースを目指してゼロから一気にやろうとするけど、まずは1を出さなきゃいけない。この1が重要なんだと。「いい言葉でしょう?これ、私が言ったんです!…そう言いたいんだけど、Shing02さんが言ったんです」と笑うたむらぱん。いい言葉が出てきて、嬉しいんだけどそれを言ったのが自分じゃないのが悔しいなぁ的な(笑)。その言葉にこだわる姿勢が、その他のMCでも随所に出てました。今回MCで敢えて歌詞や言葉に言及することが多かったのは、『wordwide』という言葉をフューチャーしたアルバム名だったからなのか、彼女の中で言葉が占める重要性が以前よりさらに大きくなってきたからなのか。ただ、アルバム『wordwide』では彼女の言葉がこれまでよりもずっと、自分の心に響いてくるようになったのは確かです。それはこのライヴの歌や、MCでも然り。『ナクナイ』の頃と比べると、凄く言葉がよくなったなぁと感じました。

 というわけで、客席後方で観ていた前回とは違い、最前列でガッツリ楽しんできた今回のコンサート。やはり素晴らしく、とても楽しめるステージでした。まぁ何と言うか、客席のノリ方にイマイチ迷いがあるのはたむらぱんならではしょうか。幅広すぎる年齢層も一因でしょうし、例えばブルーハーツみたいにとりあえずピョンピョン跳ねておけばノレるというシンプルな音楽でもない(ブルーハーツは大好きですよ、念のため)。そこがまた観客の一部のノリにためらい傷のような跡を残すのですね(笑)。でもまぁたむらぱんの場合そんなところこそが魅力なのですが。

 ライヴ後、放心状態で新潟LOTSを出て、寒風に吹かれながら家に着くまでの間、体に残る熱気の余韻を楽しみながら夜の新潟の街を歩いて行きました。今回も最高のパフォーマンスで魅せてくれたたむらぱん。また新潟でライヴやってほしいですね。

Comment on "たむらぱん 全国ツアー@新潟LOTS 2012"

"たむらぱん 全国ツアー@新潟LOTS 2012"へのコメントはまだありません。