2011年10月23日(日曜日)

『いまだから読みたい本-3.11後の日本』 坂本龍一+編纂チーム著編

 坂本龍一+編纂チームによる『いまだから読みたい本-3.11後の日本』読了。3.11後の今だからこそリアリティが感じられる過去のテキストを盛り込んだオムニバス。さすが坂本龍一達が厳選しただけあって、感情面や論理面で確かに3.11後の今この世界だからこそ感じられる文章が集まっている。

 少なくとも、3.11後に国や東電に「だまされた」と声高に叫んでいる人達は、この中の伊丹万作による「戦争責任者の問題」だけでも読んでみるべきだ。戦後、日本の国中に「国にだまされた」という空気が漂っていた、その時代の鋭い考察はこの3.11後の日本でもそのまま当てはまる。

 その他、管啓次郎の「七世代の掟」は、そのまま短いスパンでの利益のみを求める現代資本主義社会-それは当然原発利権も含む-への強烈な警鐘となるだろう。直接の被災者の方々は「先住民指導者シアトルの演説」に涙するかもしれない。確かに3.11後に読むべきテキストが集められた一冊だ。

 それにしても、坂本龍一がさらなる参考図書としてレヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』や中沢新一のカイエ・ソバージュのシリーズを挙げているのはさすがの慧眼。私自身の思考体系にも大きく影響を与えたこれらの書だが、確かに3.11後の今の世界でこそ読み直され、見直される価値がある書だと思う。

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