2007年10月30日(火曜日)

グレンモーレンジ テイスティング・セミナー@画亭瑠屋 (2)

 さて、ちょっと間が空いてしまったがグレンモーレンジ テイスティング・セミナーの続きを書こうと思う。今回は新ラインアップのオリジナルの他、エクストラ・マチュアド3つをテイスティングできる。一つずつ感想を述べていこう。

 まずはラサンタ(LASANTA)。「LASANTA」はゲール語で温かさと情熱を意味するそうだ。また、発音の語感がスペイン語に近いこともシェリー樽熟成のこの製品の名称に使われる理由の一つだそうだ。旧シェリーウッド・フィニッシュだ。バーボン樽で10年熟成させた後にオロロソ・シェリー樽で2年の熟成を加えるという基本的な作り方自体は変わっていないが、利用するシェリー樽の品質が向上したことによる製品全体の底上げが期待できるとのこと。一般にシェリー樽熟成と言えばマッカランのような濃厚なアンバーを思い浮かべるが、グレンモーレンジのラサンタ(あるいは旧シェリーウッド・フィニッシュも)はそこまで濃いアンバーではない。むしろ落ち着いた琥珀色という印象だ。香りの方もオリジナルのような柑橘系の香りももちろん奥に潜んでいるのだが、やはりシェリーらしい甘いナッツのような香りが感じられる。セミナーで配布された資料では主にワインレッドからアンバーといった色でそのアロマの印象が表現されていた。とはいえそこはグレンモーレンジ。マッカランのようにフルボディでどっしりとした感じではなく、濃厚さとフレッシュさ、甘みとキレのバランスを取りながら、非常に上品な仕上がりを見せている。

 ただ、正直言うとこのラサンタ、今回の中では一番中途半端な印象だった。シェリー樽フィニッシュの割にはシェリーの印象が強くなく、何となく焦点がぼやけた感じが否めないのだ。まぁグレンモーレンジの身上には濃厚一辺倒のシェリー仕上げにするのは合わなかったんだろうなというのは想像に難くないが、それでももう一歩踏み込んだ濃厚さが欲しかったように思う。これはこれでバランスは確かにとれていていいのだけど。

 次はキンタ・ルバン(QUINTA RUBAN)。「QUINTA」はポルトガル語でブドウ園、「RUBAN」はゲール語でルビーだそうだ。旧ポートウッド・フィニッシュだ。これもバーボン樽10年の後にルビーポート樽で2年という作り方自体は変わっていない。が、このキンタ・ルバン、実際に見てみるとその色が実に特徴的だ。ポートルビー樽で熟成されているので本来当然と言えば当然なのだが、色が純粋なゴールドではなく、わずかに赤みがかったピンク・ゴールドになっている。ポートルビー樽でフィニッシュされたモルトは他にも色々あるが、実際にピンク・ゴールドの色彩をしているものは初めて見た。これは恐らくノンチルフィルターで色彩が落ちずにそのまま残っていることに起因しているのではないだろうか。香りは非常に揮発性が強く、むせかえるよう。カカオのような香りの中に落ち着いた甘みと、その奥にかすかに他のグレンモーレンジに通じる爽やかなテイストが見え隠れする。ポート・フィニッシュというと概して味わいはライトになりやすいものだが、これはしっかりとしたボディを持った、香り・味ともに飲み応えのあるモルトだ。そしてテクスチャは非常に滑らか。今回、このキンタ・ルバンは印象がよかった。

 そして最後、ネクター・ドール(NECTAR D'~OR)だ。「NECTAR」は神々が嗜む甘口の酒を意味し、「~OR」はゲール語とフランス語で黄金を意味する。旧ラインアップでは免税店等で限定的にリリースされていたソーテルヌウッド・フィニッシュ。文字通りソーテルヌ・ワインの樽で最後2年をフィニッシュしたものだ。これは旧ラインアップでも非常に評価が高く、正規ラインアップでのリリースが多く望まれていたそうで、今回待望の標準化となる。名称に"黄金"とわざわざ入れているだけあって、色は明るく透き通った黄金色。香りもトロンと甘い上品な蜜のような、実に魅惑的なものだった。口に含むとふわっと優しく広がる甘みが素晴らしい、上品で甘口なモルト。その意味ではモルトというよりブランデーに近いのかもしれない。なるほど、これは正規ラインアップへの追加を望まれるわけだと、飲んでみて実感した。確かに素晴らしくおいしい。一仕事終えて充実した疲れをゆっくりと噛み締めながら癒したい時などに、最上の一杯を提供してくれるだろうモルトだ。一番のお気に入りを回答する際、セミナー参加者も大多数がこのネクター・ドールを挙げていた。グレンモーレンジを飲み続けて25年の画亭瑠屋のマスターもこのネクター・ドールに(両手で)投票していた。これはモルトを飲みなれていない人にもお薦めできる、上品で滑らかな甘口のモルトだ。講師の方も言っていたが、なかなかこのような性格のモルトは存在しない。確かに。

 ところで話は少し変わるが、オリジナルはアーティザン・カスク熟成の原酒の比率が上がったというのなら、このエクストラ・マチュアドはどうなのか、気になるところだ。回答としては、やはりこのエクストラ・マチュアドにもアーティザン・カスク熟成の原酒は少々入っているらしい。ただし、その比率はオリジナルに比べるとかなり小さいとのこと。やはりそれぞれのフィニッシュ樽の個性を尊重したいこのシリーズでは、アーティザン・カスクの個性を出しすぎるのは控えたのだろうというのが私の解釈だ。

 もう一つアーティザン・カスクについて聞いた話では、グレンモーレンジ社は2008年分のアーティザン・カスクの発注を、これまでの約3倍に増やしたらしい。アーティザン・カスクを作成するための費用は通常の樽の数倍かかるが、これにはその投資の価値があると判断したそうだ。グレンモーレンジ社がMHD参加に入ったことのメリットの一つは巨大な資金力が得られたこと。ここではそのメリットが活かされた形になる。

 とするとだ。アーティザン・カスクが大量に作られて、新樽はまずバーボンの熟成に使われた後にモルトの熟成に帰ってくるので、実際に原酒が樽に入るのは2年後くらいになる。そこから熟成期間を考えると、2020年前後にはアーティザン・カスク熟成の原酒が大量に出来上がる。その頃には、もしかしたらアーティザン・カスク100%のモルトが正規ラインアップに乗ってくるのかもしれない。あるいは、もっと時を経て、18年等の長期熟成のアーティザン・カスクが出てくるのかもしれない。楽しみだ。今回のセミナーでも、一度アーティザン・カスクの話が出ると皆そこに食いついてアーティザン・カスクについての質問ばかり立て続けに出ていた。それほど、皆(私を含め)高く評価していて気になっているということなのだろう。おそるべし、アーティザン・カスク。

 というわけでグレンモーレンジの新ラインアップのテイスティング・セミナー、おいしく楽しんで色々と有益な情報も得られて、実に有意義な一時間半だった。MHDに買収され、売り方も急にブランド付いてきたが、肝心の中身はそのクオリティを上げてきている。以前と変わっているのは確かなので、古くからのグレンモーレンジ・ファンにはその変化を惜しむ向きもあろうが、個人的にはこの変化は悪くないのではないかなと思う。しっかりと、おいしいモルトを出してきてくれている。これからはグレンモーレンジを飲む機会も増えそうだ。

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