2001年05月27日(日曜日)

夢の話 -僕の時間と君の時間-

 夢を見ました。不思議な夢でした。僕は夢の中で、今住んでいるこの部屋でまったくいつものように目覚めます。そして時計を見ます。それが何時を指していたのかは覚えていませんが、どうやら約束に遅刻してしまうような時間だったらしく、夢の中の僕は慌てて飛び起きて集合場所に向かっていきました。

 集合場所に着きます。そこには人はたくさんいますが、僕が待ち合わせをしていた人達はいないようです。腕時計を見ると、集合時間には完全に遅れています。僕は「遅れたからみんな先に行っちゃったのかな?」と思いました。すると、待ち合わせていたはずの一人が向こうからやってくるのが見えます。彼は僕に「早いな」と声をかけてやってきました。早い?僕はもう一回腕時計を見てみますが、やはりどう見ても一時間は遅れています。腕時計が狂っているのかな、とPHSの時計も見てみますが、やはりそれが示している時間も腕時計のそれと同じです。僕は腑に落ちないまま、集合場所のところにあった(公園のようなところ)時計にふと目をやります。すると、その時計は僕の時計より一時間以上も遅れているのです。集まる予定の皆も続々集まってきました。皆の時計も僕より一時間以上遅れています。

 僕は不思議に思って腕時計の秒針をじっと見つめます。何で腕時計もPHSの時計も、両方とも同じ時間だけ他の人より早くなっているのだろう?そう思って見ていると、その秒針の刻み方のある事実に気付きました。僕の時計は、数分間に一回か二回、1秒ずつ進むのではなく5秒とか10秒分を一気に刻む瞬間があるのです。試しに時計を交換してもらったところ、僕の身につける時計だけがそうなることが判明しました。同じ時計でも他の人が持っている場合はそうはなりません。これは何を意味するのでしょう?僕だけ他の人より時が流れるのが早いということなのでしょうか、それとも、秒針は一気に進むのだから、数秒ずつとは言え、僕の時間が、未来が削られているということなのでしょうか。その後、夢の中で僕の時間と周囲の時間のずれはどんどん大きくなっていき、僕は時間に遅れたつもりが早く来すぎたとか、そういった時系列の狂いに惑わされることになります。ですが、何故僕の時間の流れが変わったのか、あるいは最終的に僕はどうなるのか、夢はそれらのことには一切解答をくれませんでした。

 どこか暗示的にすら思える夢です。僕だけ周囲の人間と時間の流れ方が違ってしまう。それも単純に早くなるのではなく、少しずつスキップするというようなやり方で。この夢を見て目覚めた時、何かこれをモチ−フにして小説かエッセイが書けそうな気がしたのですが、どうにも具体的な形になってくれないのでこういった形で書きました。"僕"の時間の流れが変わる。それでたとえば、他の時間が止まってしまうとかだったら書きやすい。でも、この夢では周囲の時間はこれまで通り普通に流れているのです。僕だけがその流れから外れて、時間の流れは外れたのに空間としてはまったく一緒に共存している。これが意味するものは何なのか、また、秒針が"早く進む"のではなく、少しずつ"スキップする"ことが意味するものは・・・?時間という概念は実に難しいのです。

 "時間"というものはただ時系列の流れに名前をつけただけのもので、実体はないのかといえば案外そうでもなく、アインシュタインなんかは一般相対性理論の中で「加速度運動をするものは止まっているものや等速直線運動を行うものより時間の進み方が遅く、重力が働くものも働かないものに比べて時間の進み方が遅い」ということを証明しました。これは同時に"時間"というものがどんな状況下でも万人に共通に流れるものではなく、状況によって"絶対的に"時間の進み方が異なるということを意味します。また、ホーキングは「宇宙は"虚数の時間"を通って誕生した」と言っています。そして"虚数の時間"は理論上の産物ではなく、実際に存在するとも。虚数とは二乗したら負の数になる数学上の数。そもそもマイナスの時間というのも想像しにくいものがあるのに、その上さらに"虚数の時間"とは一体なんでしょう。ややこしい話です。"スキップ"した僕の時間はどこへ消えていたのでしょう?そして何故、僕だけそのような形で周囲と時間の流れの差異が生まれたのでしょう?謎は深まるばかりです。

Trackback on "夢の話 -僕の時間と君の時間-"

このエントリーのトラックバックURL: 

"夢の話 -僕の時間と君の時間-"へのトラックバックはまだありません。

Comment on "夢の話 -僕の時間と君の時間-"

"夢の話 -僕の時間と君の時間-"へのコメントはまだありません。