2000年07月01日(土曜日)

悩ましい定演独奏選曲

 定演で弾く独奏曲の選曲に本気で悩んでいます。昨年の定演で弾く曲を決める前、候補として考えていていい曲だけど難しすぎるから次の定演で弾こうと密かに心に決めていたロドリーゴの『パッサカリア』がアランフェスと作曲者も曲調もかぶるからという構成上の理由から企画部長に却下されて以来一ヶ月以上、次の候補曲を探し続けていますが『パッサカリア』以上に心に響く曲が見つからないのです。バッハの『シャコンヌ』も長過ぎるし重いからと却下され、『黒いデカメロン』も長いと言われ、ここ一週間程は家にいる間は持っているCDの中に忘れている隠れた名曲がないかと探し、CDや譜面を血眼になって漁り、演奏会なんかで聖帝やつっきー等ギターをよく知った人間に会う度にいい曲はないかと聞き、習いに行っている先生にもそれとなく話を持ちかけ、それでもまだ見つからないのです。ただ単に「いい曲」や「名曲」はいくらでも出てくるのですが、私が自信を持って弾ける曲がないのです。自信を持って弾けるというのは技術的に余裕を持って弾けるとかそういうことではなく、私が最大の武器であるオーラを完全に活かせる、曲調というか曲との相性の問題でです。

 何よりもアランフェスのおかげでロドリーゴが完全に封殺されているのが痛い。『ファンダンゴ』も『祈祷と舞踏』も『昔音に聴こえしイタリカ』も無条件で消えるわけですから。バッハの『バイオリンソナタ第2番よりフーガ』(あの有名なタンタンタンタンタラランタンではないやつ)もいい曲ですが相性がイマイチそうですし、デラマーサの『曉の鐘』は淡々とし過ぎていて情感がもうひとつ私の感性としっくり来ません。ピアソラの『ブエノスアイレスの冬』や『天使の死』もいいのですが、ピアソラは基本的に私の表現の枠とは微妙に違うのですね。ああ、何を弾けばいいのだ?今日つっきーに理由を話していい曲ないかと聞いたら「その条件でお前に合ってる曲だとやっぱり『パッサカリア』だろう」と言われるし。弾きたいなぁ『パッサカリア』。

 しかし自分の思ういいステ−ジを作りたいという企画の気持ちもわかりますし、執行部にはそれをやる特権があります。私も去年はそうしてきたのですから。Cステージの構成には結構無茶をお願いしてきました。裏ではね、少々。だから無理は言えません。今年の執行部は自分達の思う理想のステ−ジを実現するために強権を発動する権利があるのです。しかしそこで最高のステ−ジをと願う執行部と最高の演奏をと願う私のギャップが生じてきて今回のように悩むわけです。今日つっきーに「選曲で悩んでるならヴァイスの『シャコンヌ』がもう一回聴きたい。あれは本当に感動した」と言われました。あれから一年がたった今でもそう言ってくれているのです。またそんな演奏がしたいと思い、自分に合った曲を一日でも早く練習したいと思うのですが、それが見つからない。定演までの時間は少しずつ失われていきます。『シャコンヌ』は半年弾きました。もう定演まで半年ありません。選曲の相談を他大学の人間に持ちかける度に「今から新しい曲を始めて間に合うのか?」と言われます。クラシックの独奏曲を高いクオリティに仕上げるためのタイムリミットは既に近付いているのです。それは自分でも痛いくらいにわかっているから余計に焦る。でも曲は見つからない。ああ、どうしよう・・・。『パッサカリア』弾きたかったんだけどな・・・。まぁぼやいても仕方ないし、実に男らしくないので自分で嫌なのですが、ここまで悩むとねぇ。ああ、ちくしょう、せめてロドリーゴが使えれば・・・!!!!! 精神的に限界に近いです。

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