2009年08月24日(月曜日)
激闘!日本文理
- ayum
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この夏、新潟の日本文理高校が甲子園の決勝を戦った。新潟県勢として初のベスト4、そして決勝。それだけでも盛り上がるところですが、今回はその試合内容がさらに凄かったのです。相手は大会屈指の強力なクリーンナップを誇る中京大中京。全試合二桁安打の日本文理と、ある程度の打ち合いになることは予想できていました。だから10対9という野球としては多めに刻まれたスコア自体にはそれ程の違和感はありません。凄かったのは、その内訳です。
試合はいきなり1回表、中京大中京の四番の先制2ランホームランで動く。先制されると「これはダメかな」と思うのがこれまでの新潟の高校野球ですが、今年の日本文理は一味違います。2回に1点、さらに3回にソロホームランで一点と、着実に追いついていきます。そして4、5回とスコアボードに刻まれた0という数字の裏にある、行き詰まる攻防。ノーアウト23塁のピンチを2者連続三振で切り抜ける日本文理の伊藤投手。ファインプレーで文理の攻撃を断ち切る中京大中京。ここは移動中ワンセグでこっそり観ていたのですが、実に息詰まる攻めあい、守りあいでした。しかし6回裏に中京大中京が一挙6点をあげ、これで8対2。そこから8回終了までにお互い2点を入れ、9回表の時点で10対4。日本文理の最後の攻撃も、最初の2人があっさりと打ち取られて2アウト。普通なら、ここで終わりです。ですが今回は、ここからドラマが始まりました。
二死から、一番バッター切手先取が四球で塁に出ます。続いて二番高橋選手が2塁打を放ち、三番、武石選手も走者一掃の3塁打を放って2点追加。これで10対6。さらに死球、四球でランナーが塁に出て、ここで打者はここまで一人で投げ抜いてきたピッチャー伊藤。九回裏、二死満塁、一打同点。期待に踊る文理アルプスから、球場を揺るがす程の大きな伊藤コール。それはもの凄い光景でした。佐賀北が優勝したとき、決勝でまさかの逆転満塁ホームランが出た時の高揚感を煽る和太鼓のリズムを彷彿とさせます。あの時のような球場全体を巻き込んだもの凄い空気を感じました。九回二死。点差はまだ4。でもここから、何かが起こるのではないかという期待と予感。そんな勢いと祈りが、球場に満ちていました。そして渦巻く期待の中、伊藤が見事な2点タイムリー。これで、とうとう10対8。あと2点。一層大きく湧き上がる球場と、叫ぶ実況のアナウンサー。「日本文理の夏はまだ終わらない!」この台詞に妙に熱くなりました。次の代打・石塚もタイムリーで10対9。三塁上には伊藤が同点のランナーとして控え、打者は捕手・若林。その2球目、彼が放った鋭い打球は、中京大中京のサードのグラブに吸い込まれるように入っていき、ゲームセット。一瞬、速すぎる打球の行方と突然の幕切れに戸惑い静まり返るスタンド。そしてそこから広がっていく大きな拍手。実に、素晴らしいゲームでした。
しかし日本文理の9回2アウトからの猛攻は凄まじかったです。中京大中京は途中完全に萎縮してしまったようにも見えました。そりゃ甲子園の決勝で、9回2アウトから10対4が10対9まで追いつめられたら怖くもなります。最後まで諦めず、相手をそこまで追いつめた、日本文理の粘りにはまさに見事という他ありません。最終回2アウトから味方が次々と点を入れていくのを見て、伊藤投手も「不思議な光景を見ているようだった」と言っています。それ程、まさに奇跡的とも言える最後の攻撃でした。試合後の、晴々とした爽やかな選手達の表情も印象的です。
9回2アウト。点差は6点。絶望的に思える状況からでも戦えると、最後に身をもって示してくれた日本文理の野球は、純粋に理屈抜きに、胸を熱くしてくれました。惜しくも優勝はなりませんでしたが彼らの戦いぶりは、安っぽい言い方かもしれませんが、見ている我々に勇気をくれたのではないかと思います。とうとう、新潟のチームがこれだけの勝負を、しかも甲子園の決勝でやってくれました。今年の夏は終わりましたが、また、夏は来ます。今は戦いを終えた越後の虎達に惜しみない賞賛を。また来年と、期待が弾む最後の輝きは、実にまぶしかったです。やはり、高校野球は面白い。これでやっと、今年も夏が終わります。
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