2008年11月03日(月曜日)

わたしと小鳥とすずと

わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面(じべた)をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんのうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

金子みすゞ

 最近休日は子供と一緒に子供向けのNHK教育の番組を見ていることが多い。NHKは時に『サラリーマンNEO』に代表されるようなとんでもなくシュールで他を寄せ付けない番組を突然作ったりするが、子供向けにもそんなプログラムがいくつかある。子供より大人に大人気の『ピタゴラスイッチ』を始め、明らかに「このシュールさは子供には無理だろう」という番組がいくつかある。ちなみに私は『ピタゴラスイッチ』は大好きだが。そんな中にこの『にほんごであそぼ』もある。

 これはシュールだ。シュールの極地だ。何しろ小錦がよくわからんほぼ着ぐるみの衣装を着て、子供達に囲まれながら大してうまくもない歌を歌っている。平日朝8時なんてこの『にほんごであそぼ』と『ピタゴラスイッチ』が立て続けに放送される訳だから、視聴者の立場からしてみたらたまったもんじゃない。朝からシュールな気分MAXだ。どんな気持ちで学校や職場に行けというのだ、NHK!? ・・・まぁ、嫌いじゃない。むしろ好きだ。

 というわけでその『にほんごであそぼ』に最近上に掲載した金子みすゞの詩がよく出てくる。小錦がか細い高い声で詩を歌いながらなのでやはりある種のシュールさがあることは否めないが、この番組の中ではまぁまともにしんみりくる場面だ。

 さてさて、作者の金子みすゞが生きたのは僅かに1903年から1930年。亡くなってからはや80年近くが経っている。鋭すぎる感性は、普遍を嗅ぎとってしまえるが故にあまりに脆い。今こそ、もう一度この詩を噛み締めてみるべき時なのではないだろうか。

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