2008年06月15日(日曜日)

今週の掘り出し物

 24時間音楽計画と平行して、最近はiPodにほぼ日替わりで新しい音源を入れて、これまで買ったはいいけどあまり深くは聴き込んでこなかった音源、あるいは最近買ってまだ聴いていなかった音源の発掘に尽力しています。先週はテンシュテットが指揮を振るブルックナーの『ロマンティック』を発掘しました。そして今週も、またいくつかいい音源が見つかりました。

 一つはピエール・モントゥーが指揮するシカゴ交響楽団のフランク作曲『交響曲ニ短調』。元々はストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』のいい演奏を探していて購入したCDです。モントゥーは19世紀後半生まれで20世紀半ば以降まで活躍した指揮者で、同時代の名指揮者の一人。『ペトルーシュカ』や、同じくストラヴィンスキーの名曲『春の祭典』の初演者でもあります。そんなこんなで実はこのCD、『ペトルーシュカ』ばかり聴いて満足していて、ほとんどまともにフランクの『交響曲ニ短調』は聴いていませんでした(苦笑)。

 ですが、実際に聴いてみるとこの曲がまた実にカッコいい。曲の説明の詳細はリンク先のウィキペディアに譲りますが、Lentでゆっくりと不安げに始まる曲は序盤から緊張感溢れる荘厳な弦の同音連打(ギター合奏で言うところのトレモロに近い)でじわじわとエネルギーを溜め込んでいき、最終楽章のクライマックス、鮮烈な旋律とともに一気に解放された緊張感が音楽としてのカタルシスにつながっていくのです。最終楽章に至るまで聴き手にある種の緊張感の持続と忍耐を要求する曲でもありますが、それが解き放たれた時に噴き出すエネルギーはもの凄い。といってもベートーベンの『運命』の第3楽章から第4楽章への移り変わりのような暗から明への転換ではなく、あくまでどこか暗い情熱をそのまま噴出していく、ある意味ではバロック的な内省を持った交響曲。またモントゥーの指揮が序盤の緊張感をある種の敬虔さを持って紡いでいて実にいい。これは素晴らしい曲、そして演奏です。録音も1961年のステレオ録音でなかなかいい。少なくとも、古さは全く感じない録音です。

 しかしこのフランクの『交響曲ニ短調』、どうやらあまり有名な曲ではないらしく、他に録音を探してもなかなか見つかりません。どうやら、フルトヴェングラーがライヴで演奏したCDがあるらしいです。フルトヴェングラーはベートーベンとブラームスの交響曲以外は自分が納得した曲以外振らなかったというのは有名な話ですが、その彼が演奏をしているということは、やはりこの曲は彼のお眼鏡に適うだけの価値がある曲だったのでしょう。このフルトヴェングラー盤はまだ持ってませんが、是非一度聴いてみたいものです。

 まったくの余談ではありますが、また昨日は娘の寝かしつけで一緒に眠りこけていましたとさ(苦笑)。

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