2004年07月24日(土曜日)

球界再編問題について一言

 私がそういうことについて語るのを意外と思う方も多いかもしれませんが、今日のお話は最近話題沸騰中の球界再編問題についてです。とはいっても、日本に「球」系のプロスポーツは他にも色々あるのに、何故「球界」といったら無条件に野球なんだろうという素朴な疑問については今回は触れません。

 ともあれ、近鉄・オリックスの合併が発表されてから球界は揺れに揺れています。パが5球団で運営は経済的に厳しいからセ・パを統合して1リーグ制で行こうという提案がそもそもの発端。今思えばこの騒動が始まった当初、巨人は「1リーグ制にしたいならパでもう1つ球団を減らせ、1リーグ制にして救われるのはそっちなのだから」とリーグ統合に難色を示していたような気がします。気付けば今巨人は1リーグ制強硬派になっとって、ライブドアが球団買取に動いてみても、誰かさんが「話す必要すらない」とバッサリ切ってみたり、古田が選手の雇用問題等の関係で「1リーグ制は賛成できない、オーナーと話し合いを」と提言してみても、また誰かさんは「選手風情が立場をわきまえろ」と思い上がりも甚だしい発言でバッサリ切ってみたり、誰かさんもうやりたい放題で問題かき混ぜてくれてます。さすがにあれは如何なものかと思い始めたのか、いつの間にか巨人以外のセ5球団で1リーグ制反対の同盟が出来上がってたり、かと思えば巨人社長と、反巨人の筆頭・阪神社長の直接会見では阪神社長、巨人社長に厳しく避難されて逃げ腰になってたり、もう何だかドロドロしてきてわけがわかりません。

 少し問題を整理してみましょう。そもそもの問題点は放映権等、巨人絡みで動く金にあります。私はアンチ巨人ではありますが、何だかんだいってプロ野球で一番集客力があるチームは巨人です。当然、巨人が試合をする時は相手のチームにも金が入ります。ですから、巨人以外のセ5球団の場合、10チーム1リーグ制になるとドル箱の巨人戦の回数が減って収入が減ります。逆に、パから見た場合は巨人戦が入ることで、一年の試合数は変わらなかったとしても相対的に収入は増えます。選手や審判の雇用問題等、背景には様々な問題が絡んでくるとはいえ、事の本質は巨人戦絡みの金の取り合いに他なりません。ですから、セの巨人以外の5球団が2リーグ制維持を叫ぶのも、パの球団が1リーグ制を叫ぶのも、雇用問題に直面する選手会が2リーグ制を叫ぶのも、まぁそれぞれの立場で見たらよくわかります。唯一わからないのが巨人で、何故誰かさんが1リーグ制に固執するのかの意味がわかりません。最初嫌がってたのに・・・。終いにゃパに移籍するとか言い出してるし。まぁそうすれば確かにセ・パ間での数及び人気のバランスは取れる気もしますが。

 あまり触れられないところではありますが、実は今回の問題の根っこには日本のプロ野球が抱える構造上の問題が潜んでいます。そもそも、企業が球団を持っていること自体が問題なのです。何も野球に限った話じゃありませんが、プロのスポーツチームを企業が保有している(スポンサーという意味でなく真に保有している)のって、実は日本くらいのものです。そこが問題なのです。例えば同じ野球のメジャーリーグを見てください。メジャーでは放映権や肖像権等、そういった権利関係はすべて協会が保持しています。で、人気のあるチームからもそうでないチームからも、入場料等やグッズ販売等も含めて入ったお金を全て協会が管理し、不公平のないように各チームに分配します。日本で言うところの巨人的存在のヤンキースの場合だと、圧倒的な集客力ではあるもののその収入は結局他のチームに分配されるので、取り分は集客力に比べれば減ります。でも他の人の集まらないチームは、そのヤンキースから出たお金で支えられます。だから球団が金銭的な問題で合併なんて問題はそもそもほとんど起こりえないし、身売りだ何だという状況自体が発生しません。要はメジャーリーグという組織全体で1つの企業みたいなもんだからです。メジャーだとドラフトなんかでも前シーズンに成績の悪かったチームから優先的に交渉権がもらえます。金にせよ、人にせよ、メジャーでは常にリーグを公平に盛り上げて面白くしていこうという仕組みが出来上がっているわけです。球団レベルでの利益の追求というのは(もちろん多少はあるにせよ)それほど激しくありません。貧富の差はメジャーリーグ全体で調整されるからです。そもそもプロスポーツというのはチーム毎でなく全体で見れば、ファンのために競技が面白くあるにはどうすればいいかを考えなければいけないでしょう。メジャーの場合はチーム毎の利権が均等化されるせいもあり、その辺りの運営は非常によく出来ている。

 見方によっちゃ社会主義的と言えなくもないですが、スポーツってこうあるべきだと思いませんか?日本の野球界、特に今回のこの騒動を見ていると、非常にせせこましく感じてしまいます。資金難で合併する球団が出てくる。その一方で、有り余る資金力に任せて選手をかき集めてくる球団がある。いざリーグ統合だ何だという話が出てくると、今度は金の入るカードを巡って1リーグ制だ、2リーグ制維持だとゴタゴタが始まる。それに付き合わされる形でシーズン中にもかかわらず選手会まで巻き込まれていく。今回の騒動、ファン心理は無視かとか色々言われてますが、そもそも今の日本では球団は利潤を追求する組織なのであって、利潤に対する価値以上のファン心理等鑑みるはずがない。慈善事業やってんじゃないですから。どの球団も口を揃えて「球界が」とか「ファン心理が」とか言いますが、結局考えてるのは球団の金銭的利益。ま、当然ですよね。当然ですが、やはりどうしてもせせこましく見えます。誰もプロ野球の将来なんて本気で考えてない。トップがプロ野球というエンターテイメントを魅力的にしていこうなんて微塵も思ってないんでしょうね。それを本気で考えるなら、メジャーリーグみたいに協会がすべて利権を管理してしまえばいいんですよ。そうでなければ、財政難で合併とかいう話が持ち上がる前に巨人とか資金力のある球団が持ち合って、寄付でも何でもして救ってあげればよかったんです。それをゴチャゴチャと子供の喧嘩みたいな真似してファンも選手も振り回してって、明らかにおかしい。ただでさえプロ野球人気は低迷気味だというのに、自ら首をくくるような真似してどうするつもりでしょうかね?少しはメジャーを見習ったらどうでしょう。これは松井秀喜選手も同じ事を言ってましたね。やはりメジャーの、特にヤンキースに入ってそこから日本の球界を見てみるとおかしく見えるのでしょう。とはいえそんな構造改革が一朝一夕で出来るわけではないので、やはり当面ここ数年をどうするかという問題はどうしたって残るわけですが。ねぇ巨人さん、ヤンキースみたいに他の球団を支えてやろうという気概はないのですか?ってゆーか誰かさん、元々タナボタで今の地位に就いたくせに、あなたの方こそ立場をわきまえたらどうですか?

 普段大してプロ野球好きというわけでもないのですが、今回の一連の騒動を見ていてあまりにも滑稽に思えたので書いてみました。

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